2014年10月31日金曜日

河合拓始ピアノソロコンサートについて

「Gallery SHIMADA メールマガジン 1036号」から抜粋

ヘルマン・ヘッセと言えば、20代に読みふけった記憶があります。多感に生きを探り求め
る頃に出会った人は多いとおもいますが、内容についての記憶は朧(おぼろ)です。
「車輪の下」「春の嵐」は書棚の片隅で紙やけした文庫本でありましたが読んだはずの「デ
ミアン」などは見当たりません。文庫の奥付がどちらも昭和47年です。
いつも一人の主人公を軸として、いかにして自分自身を発見できるか、自分の生き方とは
なにかを問い続けた魂の記録こそが青春の彷徨であり、それがまた老いへの考察とつなが
っていったのですね。

河合拓始さんはギャラリー島田のサロンで即興ソロ演奏ライブをしていただきましたが

ヘッセが後半生をスイスの田舎に暮らしながら「人は成熟するにつれて若くなる」といっ

て自然と老いをめぐる思索を深めたように、河合さんも2012年に東京から福岡県糸島市

に引越すと言う人生の大きな転換をされました。玄界灘に突出した糸島半島は朝鮮半島

と一衣帯水の位置にあり、原始・古代の昔から、玄界灘を介した異国間交流が行われ
稲作文化や政治など、様々な先進文化受容の地として発展した場だそうで、『魏志倭人

伝』に記された「伊都国」の地としても知られています。
ヘッセに倣(なら)って糸島へ住まいを移されたことと、このコンサートの在り方は深く
繋がっているようです。

単なる、難解な現代音楽のコンサートという枠を超えて河合拓始の世界観を披瀝する場に
立ち会うような稀な体験だと思います。
ご予約・お問い合わせ:090-1914−4907 神戸芝居カーニバル実行委員会(中島)まで。

またギャラリー島田でもご優待チケットを販売しています。
前売 3000円を2700円で。